人生のビックイベントのひとつである妊娠。心身ともに大きな負担がかかる期間。
また家族が増えるとっても大切な時期ですよね。そんな時、夫(もしくは同居の親など)が、喫煙者。ご自身にも、将来生まれてくる子供に対しての影響など考えると禁煙してほしい。
そんな思いがある方は多いと思います。私は妻の妊娠の機会に禁煙に成功しました。もちろん一人で辞めれたわけではなく妻と二人で対策を練って二人三脚でタバコをやめることが出来ました。
現在禁煙をお願いしてもやめてくれない、言い出せていない方など様々お悩みの方に私の実体験を交えつつ、禁煙のすすめをご紹介させて頂きます。

喫煙者ってなにもの?
禁煙が出来ないメカニズム
タバコを辞めさせたい場合、タバコを吸うメカニズムを知る必要があります。タバコには依存性があると言われてるのはご存じかとは思いますが、実はその依存には2種類あります。
①ニコチン依存
タバコ使用時に依存を生じる主たる原因となっているのはニコチンです。ニコチンは中枢神経系のうちドパミンを介する脳内報酬系に作用するとされ、脳内神経伝達物質の分泌がニコチン摂取で増加することが知られています。
また定期的にニコチン摂取を繰り返すとある時期以降には脳細胞は喫煙してニコチンを吸収することでようやく以前と同レベルの活動を維持するようになる。
これが「ニコチン中毒」「ニコチン依存」と呼ばれている状態となります。簡単に言うと脳内活動に必要な物質が喫煙でしか維持できなくなっている状態となります。
②心理的依存
いつも喫煙していた場面、他人の喫煙シーン、困難に遭遇したときなどに喫煙要求が高まる状態をさすもので、喫煙で良いことがあった体験の積み重ねが、心理的な条件反射を強化する。
経験や記憶によるところが大きく、喫煙年数が長いほど強固である。
この心理的依存によって一旦禁煙したものの、さまざまなストレス場面において容易に喫煙が再開されることが多い依存。

依存には2種類あるのね。
お父さんはどっちの依存が強いか観察してみてもいいかも!
喫煙者の心理を知ろう
喫煙者の中にはタバコが大好き、メリットしかない。
やめれるとしてもやめない!なんで人はほぼいません。
ほとんどの喫煙者はやめれるとしたらやめたい。と感じているはずです。
またいつでもやめれるから吸っている。なんていう言い訳で喫煙を続けている人が多いのも事実です。
しかし上記で記載したタバコの依存性の強さはなんと麻薬より強いといわれています。
一般的に麻薬中毒者の治療には専用病棟や支援施設など完全に隔離された環境で麻薬を断つ。なんてこともします。
タバコはそのような治療が必要な麻薬よりも依存性が強い為、禁煙を始めるということは、テレビなどでよく見る麻薬常習者の治療以上の治療が必要である。ということを理解する必要があります。
ですからあなたも含め夫、旦那さんに対していかに毒性、依存性が高い薬物であるか自覚してもらうところから始めてください。
喫煙者に理解してもらうこと

夫に依存性について理解してもらうところからはじめるとお伝えしましたが、理解してもらうこと大切なことは他にもまだあります。
それは、『旦那さんにとって奥さんであるあなたは敵ではない。』ということです。
日頃ストレスに晒され、喫煙の時間がもしかしたらとても大切な時間なのかもしれません。仕事の付き合いでタバコを吸う必要があるかもしれません。
奥さんからは見えない価値があるのは事実です。しかし辞めるべきなのも事実です。
そんな時に大切なのは奥さんからの命令ではなく、家族という一つのチームにとって最善の選択はタバコを辞めることである。と認識してもらう必要があります。

やっぱり家族が一番だね。
改めてみんなのことを考えてもらえるような言葉をかけてあげたら、
きっとわかってくれるはずだね。
喫煙者にとっての喫煙とは
医学界では【有用性】という言葉があります。
これは医薬品などで用いられる考え方ですが、医薬品には主作用と副作用があります。例えばコロナのワクチンでもコロナの重症化を抑えるという有効性と、心筋炎などの懸念されるリスクの大きさ、発現頻度などのマイナス面が存在します。
それらを比較した結果『有効性が副作用等のマイナス面を上回る』と判断される場合に初めて【有用性】があると判断できるわけです。
現状、喫煙者は喫煙によるデメリットよりメリットが上回る為喫煙しています。もしくはデメリットが正確に見積もれていない為にメリットが上回っている状態となります。
つまり喫煙者にとっては有用性があると認識している為、喫煙を継続しています。
ここで重要なのは、喫煙者自身もメリット、デメリットを比較しており決してデメリットがないと思っているわけではないということを忘れないでください。
有用性を検討する
先ほどご紹介した有用性について簡単にまとめると、【メリット】-【デメリット】=【プラス】の場合有用性である。という構図が成り立つことになります。
その為、喫煙者にとって有用でない状態にする必要がある訳です。その為の具体的な方法としては
①メリットを出来るだけ小さくする。
②デメリットを最大化する。
③またはその両方を実行すること
上記いずれかの方法によってメリット-デメリット=マイナスの構図を作る。
このパターンに乗っ取った禁煙方法が一番簡単に禁煙が可能になる可能性があります。
個人的には①パターンは喫煙者の脳に深く刻まれているメリットを容易に覆すことは難しい為、
②デメリットを最大化パターンでの攻略をお勧めします。

デメリットを把握しよう
このメリット・デメリットを考える際に一番大切なのは、喫煙者個人のメリット・デメリットで考えるのではなく、家族単位でのデメリットを考えるようにする必要があります。
ほとんどの喫煙者は個人単位でのみ考えていることが多いです。これは自己中心的な考えという訳ではなく、ただ単純に個人の問題であると考えるケースがほとんどの為です。
ニコチン依存は立派な病気である為、奥さんや周りの方が一緒に問題解決に真面目な姿を見せるだけでも効果はあると思います。
それこそこの記事を一緒に読んだり、協力姿勢を見せ敵ではないことを改めて伝えてみてください。
そしてまたこういった話をするタイミングも大事な要素のひとつであるといえます。家族単位としてデメリットを考えてもらう際に一番おすすめタイミングは、なにかしらのイベントにあわせる。というのがよいと思います。
私の場合は、妊娠のタイミングで家族が増える機会でもあったので、取り巻く状況など視野を広く保つことができる時期ではあったのでそもそもハードルは低く協力して進める事が出来たわけです。
妊娠中のタイミングだけではなく産後であっても、誕生日、保育園、帰省などたくさんタイミングがあると思います。
ご家族の状況にあわせてタイミングを検討してみてください。ここさえ上手くいったら実は既に禁煙は半分成功です。
たとえ失敗しても次に繋がる良い経験となってご家族の思い出の一つとなるはずです。なにより失敗してもお互いに他責思考にはなり得ず、またチャレンジすればいいだけの話なのです。
金銭的損失を考える

次に金銭的な損失について簡単にまとめてみました。
タバコ1箱500円 (将来的に1000円にはなりますので、750円計算をするのがベスト 一日20本)
◇1日:750円
◇30日:22,500円
◇1年:270,000円
◇30年:8,100,000円
おむつ換算すると、おおよそひと月で一番高いおむつでも5箱以上買えてしまいます。
粉ミルクなら大缶を8缶。1年ならベビーカー、チャイルドシート、チャイルドシート付の電動自転車を買ってもおつりが出ちゃうのです。。。
しかしながら金銭的損失よりもよりおおきな問題が実はあります。
それはたばこを吸うために浪費した時間のことで機会損失、時間的損失というものになります。
◇1本:5分
◇1日(20本):100分
◇30日(600本):3000分(50時間)
◇1年(7200本):36000分(600時間)
この浪費したであろう時間は資格で言うと簿記2級、宅建、マンション管理士、行政書士などの必要勉強時間を上回る時間を浪費していることになります。

えええ!!?一年で27万円!?
新しい服、おもちゃも買ってほしい~

僕も習い事とはやりたいな!
タバコ吸っている時間でもっとパパと遊びたい!
この時間を他に使うことができればたくさんの事ができると思いませんか?
禁煙によるメリットは金銭面だけではなく、時間を作れるというとても大きなメリットがあります。
その開いた時間で逆にお金を稼ぐこともできるのです。
隙間時間で出来るお金稼ぎについても記事にしておりますのでよかったら参考にしてみてください。
赤ちゃんに与える影響
父親の喫煙は赤ちゃんとって早産、流産、死産、低出生体重、先天異常と関連があると示唆されています。受動喫煙だけではなく、喫煙者の服や髪の毛にタバコの成分が付着します。
その成分に妊婦が触れたり、吸ったりすれば、タバコの悪影響を受ける可能性があります。例えば喫煙した場合に限りなく影響を与えないようにするにはタバコを吸うたび、風呂に入り、服を着替えるなどの行動が必要になってきます。
赤ちゃんの受動喫煙は病気にかかりやすくなるだけでなく、身長が伸びづらい、知能指数が低くなる、将来的に暴力犯罪をしやすくなるなどのデータもあります。
さらに、幼少期の受動喫煙でADHDのリスクも高まるという報告もあります。
乳幼児突然死症候群(SIDS)
乳幼児突然死症候群(SIDS)とは乳幼児突然症候群といわれ、「sudden infant death syndrome」の略称。端的にいえば、 赤ちゃんの原因不明の突然死です。妊婦の喫煙に加え、受動喫煙もSIDSの原因と疑われています。
4000人に1人の割合で、生後2ヵ月〜6ヵ月の赤ちゃんに多く発生するといわれています。

両親が喫煙している時・両親が喫煙していない時のSIDS発症率を、厚生労働省が比較したデータでは、このSIDSの発症率は、両親が喫煙していると約4.7倍も高くなるという報告もあるよ
解決策
きっかけづくり
ニコチンが体内から抜けるのには3日程度かかると言われています。
またその後禁煙中は、不安、イライラ、落ち込み、睡眠障害などの症状がでるといわれていますので、できるだけストレスのかからないタイミングで禁煙に取り組んでみましょう。
妊娠されている方であれば、どのタイミングでもよいですし、産後の方は、お子さんのイベントや帰省などうまく組み合わせて話を切り出してみたください。
生活習慣、ルーティーンの把握と切り替え
喫煙者は日常動作の中に喫煙を組み入れています。
多くは楽しいこと、好きなこと、食事の前後や物事の起点や終点にセットしていることが多いです。本来それだけで十分な時間のはずなのに、【タバコを吸わないと完結しない!】と脳内が錯覚してしまっています。
楽しいことの完結にタバコではなく、タバコ以外の好きなことに置き換えてみることを考えてみましょう。

喫煙者の多くはコーヒーなどのカフェインも同様に中毒になっていることが多く、コーヒーとセットでタバコを吸っている方はコーヒーを見ただけでタバコを連想してしまうなんてこともあります。
禁煙を始めるとコーヒー以外にもこの【連想】が大きな障壁となっています。
ニコチン中毒もさることながらこの心理的依存も同時に対応していくことがとても重要です。どんなものからタバコが連想されるか、どんな時にタバコを吸っているか、吸いたくなるかを旦那さんと一緒に書き出してみることから始めましょう。
連想してしまうもので排除できるものは排除して、排除できないものは置き換えるものや別にやることを事前に決めておくとよいでしょう。

喫煙のタイミングを可視化してみよう!
短期目標の設定
禁煙成功とはタバコを全く吸わず、必要としなくなっている状況を指します。
しかしながらその道筋の中に小さなゴールはたくさんあるのです。小さな一歩を大きなゴールとして、都度達成を一緒に喜ぶようにしましょう。
この話し合いをするだけでも十分すぎる一つのゴールなのです。
最初は【1時間禁煙できた。】【この動作のときタバコのことを忘れていた。】【これをみてタバコを思い出したけど我慢できた。】これらは素晴らしい前進であることを是非一緒に喜んであげてください。
医学の力に頼る 禁煙外来
禁煙外来は保険適用です。
つまり国が公に病気であることを認定し、保険治療として認めているわけです。風邪を引けば風邪薬を病院にもらいに行く。花粉症であれば抗アレルギー薬を服用する。
喫煙をしていれば禁煙外来に行く。これは間違いなく一番成功率の高い禁煙方法になります。
自分で我慢して失敗するよりもよっぽど合理的な判断だと私は思います。費用についてもタバコひと月分以下で薬をもらうこともできます。

お住まいの市区町村名+禁煙外来で一度検索してみるといいよ。
医学の力に頼る 禁煙補助薬
いきなり病院にいくのはちょっと抵抗がある。なんて方は市販薬の禁煙補助薬も存在しています。
病院で処方される処方薬は【ニコチンによる快感を感じにくくする薬】に対して、禁煙補助薬は【ニコチンを体内に補充する薬】である為その作用は異なるという点を理解しておきましょう。

市販薬でうまくいかなかった場合処方薬を使用したらうまくいったなんてケース、またその逆のケースもあるみたいだよ!

市販の禁煙補助薬にはパッチとガムの2種類があるみたい。
使い勝手の良い方を選ぶといいよ

下記は製薬会社大手のグラクソ・スミスクライン社の発売している禁煙補助薬のガムとパッチです。第一類医薬品、2類医薬品となりますので、手続きや用法容量などに注意して、添付文書に従った服用をしてくださいね。
「禁煙中の症状を今すぐ和らげたい」という場合は、ガムの方が適しているでしょう。
ガムも即効性があるわけではありませんが、噛むことで気が紛れる効果も期待できるためです。
市販の禁煙補助薬をご使用する場合には、添付文書をよく読み以下の注意点にも気を付けましょう。
・使用目安が12週間と定められている。
・ガムとパッチの併用は不可。
・禁煙外来を利用した場合の禁煙成功率は70%~80%と一般的に言われており、一方で禁煙補助薬を用いた禁煙は、自力で禁煙する場合と比較すると2~3倍程度成功率。禁煙外来の方が禁煙成功率が高い可能性が示唆されています。
・用法容量を守必要がある。たくさん服用したり、パッチをたくさん貼っても禁煙効果が高まることはありません。
最後に
旦那さんの禁煙に悩んでいるあなたのような方は多く、乳幼児を抱えたご家庭や、ご妊娠中の奥さんはそれだけで手いっぱいになっていることと思います。
そんな中、旦那さんの身勝手に見える喫煙には少なからず思うところがあるのは当然のことと思います。日々お疲れ様です。頭が上がりません。
しかしながら最後まで読んで頂いた方なら、喫煙は病であり、喫煙がもたらすニコチン依存、心理的依存は共に克服まで大変ハードルの高い壁であること、ご家族のご理解、ご協力なしには克服できないことをご理解いただけているかと思います。
今一度踏みとどまって、旦那さんと共通の課題として乗り越えてください。

成功をお祈りしているよ!!
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